整体師へのみちのり はじめに

「治らない!」ではなく「治せない!」のではないか?そんな疑問を感じたのは今から15年前のことです。わたしは山梨県内では有名なリハビリ病院に勤務していました。そこには脳梗塞の方や膝、腰などの機能障害のリハビリに通う患者様であふれかえっていました。「こんなにも身体の悪い人が多いのか!」とびっくりする毎日でした。
 「ここにくれば治る!」という気持ちで通う患者さんはとても一生懸命なのと反面、今後の生活の不安を隠しきれない表情をしています。それに対してスタッフは「大丈夫ですよ」と安心感を与える、、マニュアル通りの対応と施術。1か月、2か月、ついには半年・・・・
症状の改善がないまま退院したり、治療を終了したりしてしまっている。何がいけないのかということを考えると、日本の医療に関してはすべて保険点数で治療は計算され、治療時間や回数が制限されてしまっている。要するにたくさん施術をさせてあげたくてもできないのが現状です。また「西洋医学」という枠組みにとらわれすぎていて、リハビリや治療のスタートが非常に遅いということもあるとは思います。それに加えて、効くか効かないか分らないような電気治療や温熱療法・・・これでは治せないと痛感した。
 それでもテレビでは「だれも治せなかった○○を治したすご技!」みたいな番組をみて、もっと治すために有効な手技があるのではないかと方向性を探し「整体」にたどりついたのです。。。

整体学校選びで途方にくれる

最近ではインターネットが普及され、多くの情報が飛び交っています。整体の学校のHPもたくさんネットで公開されていますので、簡単に探すことができます。しかし当時は電話帳や新聞の広告、書籍などから調べるしかありませんでした。仕事の合間を見つけてそこから情報を収集し、休みの日には東京へ各駅電車に揺られて整体学校の見学にいきました。見学した学校の数は25校。1日に見れる数は2校〜3校くらい。毎回くたくたになって甲府に戻ってきました。見学だけで7回か8回くらい東京にいきました。しかし「本気で習いたい」という学校がなかったのが率直な意見。なぜ「本気で習いたいと思わなかったか?」理由をあげると、
@マッサージに似た手技だけを教えていて整体とは到底言えない
A師匠と呼ばれている人の教え方が全然わかりにくい(自己満足)
B弟子が教えている(超緊張してる)
C受講料が莫大に高い(最高で250万)
D宗教くさい(仙人か?)
E生徒が多すぎ(30人に対して先生一人)
Eその他
少ない貯金の中から多額の受講料を払うわけですから、慎重にえらばなければいけないですよね。家族も食べさせていかなければなりませんから、経営的にも安定させなければならないわけです。あまりにもピンとくる学校がなさ過ぎて、「整体をあきらめようか」と思い始めていました。甲府の学校にも見学にいきました。東京並みの受講料のわりには・・・「やっぱり山梨はだめだ」到底整体などと呼べるものではない。

やっと学校が決まった

しばらくしてここならばと思える学校が一軒あったのでそこに見学行きました。
そこは大手の学校で学長が直々に「入学しないか?」誘ってきました。なぜならば履歴書に僕の勤務地の病院の名前が書いてあるのを見てエリートだという風に判断したようです。
決してイケメンだというわけではないですが。
(笑)今まで散々歩き疲れて学校も決まらなかったことに非常に家族に迷惑をかけているという実感があった自分はここならばというような気持ちでこの学校を決めました。
そこでの研修内容はマッサージに似ている手技に加えて骨盤矯正、足裏マッサージ、アロマセラピーなどの充実した内容で整体の基礎を築けたと思います。
しかしながら病院で患者を診ていた自分にとっては、本当に治せるというところまでの手技のレベルではないのではないかという事態にぶち当たりました。
その学校では110万円の受講料を払いました。
私としては貯金を全部使ったかたちとなります。
もうお金はありません。
ある日セミナーを受講することが卒業試験の条件とのことで2万円を払ってセミナーに参加しなければならないということが発生しました。
その後も上級レベルのセミナーなどに参加しなければならないような状態になり、さらに2万円の金額が発生しました。
次から次へと入学金以外にも金額が発生し、初めはそのようなことが聞かされていないにも関わらずどんどん支払う金額が増えていきました。
ある整体手技に用いる機械を購入した人のみが受講できるセミナーが開催されたり、講師になるための資格を取るためのセミナーなどもありました。
受講生は参加しなければならないような状況にありました。
ますます財布の中身はなくなるばかり。
この頃から通学も電車ではなく高速バスを使うようになりました。
そうこうしているうちに受講期限である一年が近づき追い出されるように卒業試験を受けさせられ卒業しました。

これでは開業できない・・・もうイャ。

受講期間が過ぎて中途半端なまま卒業試験に合格し整体師として認定を受けました。
が、やはり今まで見ていた患者さんを治すレベルの手技ではないと実感しました。
そこでさらにレベルの高い手技を勉強するために違う学校を探し入学することに決めたのです。
そこでは運動療法を中心とした整体スタイルで痛みなどがある患者さんが一番苦労している関節の可動域をソフトな手技で広げていくものでしたのでとても有効であると感じたからです。
これならばという気持ちで手技の習得に努めました。
そこでの手技は今の整体手技のベーシックになるものでした。
最短の授業日数で卒業し、やっと開業することが出来ました。
そこまで約2年の月日が経ちました。
合計すると交通費を含めて約200万円くらい。
最初はそんなつもりではなかった。
ここまで多くの方々に支えられて自分のわがままを突き通させてもらったことに感謝をし、この整体でしっかりと症状に立ち向かうことに誓った頃でした。

ようやく開業したけど・・・

初めは出張専門の整体院を開業しそれまでに培ってきた整体の宣伝方法を使いながら多くの患者さんを診ることが出来ました。
自分で思った以上に集客が出来たので経営的には経費もかからず満足な収益を得ることが出来ました。
多くの患者さんにも喜んで頂き改善されたという感想を頂くたびにこれまでの苦労がすべてなくなったように感じました。
たくさんの患者さんを触ることによって自分自身の手技にも自信がついてきたし、予約がとりきれない状況になった自分に満足したいたことも事実です。
しかしながら施術をしているうちに徐々に症状の重い患者さんが来院するようになりました。
整体学校ではマニュアル通りの施術を教わっただけですのでしばらくするとその手技では太刀打ちできないような患者さんが来院するようになったわけです。
そこでそのような難しい症状を改善するために新たにレベルの高いセミナーを選び受講しました。
もちろん有意義な時間を過ごし、整体院に帰って練習をし、今まで難しいと感じていた患者さんも治せるようになったきたわけです。
その時に整体業は今の自分に満足せずに常にレベルアップのために勉強や練習を続けていかなければいけないということを痛感させられました。
しかしながら一つ一つの研修に関しても莫大な費用がかかるわけです。
患者さんを多く診て収益的には増えましたが、その分は全て研修費にまわしたといっても過言ではありません。

現在では

多くの壁にぶち当たりましたが、整体師として仕事を続けられる状態にあります。
その後整体院も三店舗まで増やし軌道にのっているかのように思います。
しかしながらいつどのようになるかはわからないので常にアンテナを立てて状況を見極めていくことと、先ほども言ったように修行し続けなければいけないと思っています。
僕の整体師の道のりは多額の金額を投資したくさんの時間を費やしました。
全ての経験は無駄ではないと思っていますが回り道しないようにやろうと思えばもっと早く今の状態になれたのかもしれません。
私の運営している整体スクールは受講生にそのようなことがないように効率良く正しい手技を伝承することを試行錯誤しながらカリキュラムを組んでいます。
さらに現在でも修行の身である上より良いものを皆さんに提供できることに努めています。




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